究極汎用型TRPGシステム
究極汎用型TRPGシステムというのを考えてみた。
ってか、正確にはTRPGを定義する為に必要な最低限の要素のみを残して、最低限あると便利な要素だけ取り入れたものである。
概要
まず、どんなTRPGシステムであっても、プレイヤー同士の会話*1でシナリオを進めるという大前提が覆ることは無い。*2
故に、物語の舞台があって、プレイヤーの分身であるキャラクターさえ居れば、それだけでTRPGを行うことができる。
ようは、舞台設定とキャラクターを作るときに設定してはいけない範囲*3だけを用意すれば、TRPGとしてプレイするには不足は無いのである。
使用例:学園異能モノ
例えば、現代異能モノで学園が舞台。プレイヤーは背後霊を実体化して行動させる能力を持っていて、その背後霊は必ずひとつのなんらかの特殊能力をもっていて、背後霊に対しては他の背後霊によってしか干渉することが出来ない。と、某ジョジョアレンジな舞台を用意したとする。
プレイヤーが決める必要があるのは、キャラ名に性別、どんな立場かという基本的なロールに必要なキャラ設定部分と、自分の持つ背後霊の形状*4とそれが持つ特殊能力をGMが却下を出さない限りどんなものでも付けて良い。
それが、"炎を操る能力"あろうと、"魔法を扱う能力"あろうと、"10秒間だけ時間を止める能力"であろうと、"触れた物体を金に換える能力"であろうと、"野外限定で軌道軍事衛星からレーザーを放つ能力"であろうと、"メロンパンを食べれば幸せな気分になれる能力"であろうと……
そして、プレイ中はそのキャラクターに設定した設定上、理由をつける事のできる宣言であれば、どのような事でもやって良い。
逆になにを使用とも理由をつける事の出来ない宣言は一切出来ない。
"時間を止める能力"の使い手が、空間の時間を部分的に止めることで空を舞う桜を足場に駆け上っていくのはできるが、"炎を操る能力"の使い手が同じ事をすることは出来ない。
炎をロケット噴射のように使い、飛ぶと言うのであれば可能だが、そうでないのならば"炎を操る能力"とは別途に"浮遊能力"なり何なりが設定されていなければ飛ぶ事は出来ない。もちろん、グライダーなりなんなりと人間の扱える別の飛行手段を使うというのはありである。
詳細解説
つまり、プレイヤーができると定義したものはできるし、出来ないと定義したものは出来ない。
未定義の事態に遭遇したら、その都度追加で定義していけば良い。
また、時には判定を行いたいと言うときもあるだろう。
プレイヤーに数値が設定されていなければ、判定は出来ない、若しくは判定の意味が無いというのであれば、答えは否だ。
まず、○○に関する判定と伝え、PLがこれくらいだと思う自己申告を元にダイスを振ってもらえば良い訳だし、PLが迷うようであれば、GMが目安を掲示すれば良い。
「技能の心得が無いキャラなら技能値1のダイス5個ほど、技能の心得があるキャラなら技能値3のダイス10個くらいが目安ね」等と。
別にここでプレイヤーが「この方面に関しては天才的って設定なので、技能値5で100個振るぜ!」と言っても構わないし、GM側から「キミのキャラの判定値はこれくらいね」と伝えても良い。
判定の意味が無いというのであれば、実質その判定自体が無意味なものなんだろうし、GMが指定したダイス数を降らせるのでも良い。(ジャンケンでの勝敗を同じダイスを振って数字の高い方を勝ちにするなど)
ダメージ等の描写が必要なら、「軽傷を負わせる程度の威力」「一般の人間なら吹き飛ぶ程度の威力」「一撃で消し炭になるほどの威力」「有無を言わさず即死」など、自己申告をしてもらそれに合わせて演出すれば良い。
この場合、主に向いているダイスの判定方法は下方ロール形式*5となる。
幸いながら、下方ロール形式ルールとしてダイス数に制約*6が無いため、パワーインフレーション系の演出を行うには適した判定方式*7である。よって、この方法を取り入れる。
ダイスによる判定なんて、所詮はゆらぎを演出するための小道具に過ぎないのだから、運の要素を必然的に取り入れる判定方式は不要だし、逆にそれが必要な場面があればピンポイント的に使えば良い。*8
また、感情の爆発によるパワーアップなどを演出したいのであれば、プレイヤー達が自身でその分を上乗せして判定を行えば良いだけである。(技能値4、ダイス数150の判定に対して、技能値5、ダイス数180の判定で返すなど)
まとめ
勝ちロール、負けロール、逃げロール。それを定義するのはダイスではなく、それぞれのプレイヤー自身なのだから、あくまでダイスは小道具なんだよねぇ。
基本的には、プレイヤーがシナリオに対する"協調性"さえ持っていれば、能力の強弱やそんなものを数値やルールとして規定する必要なんか無いのである。
このシステムをプレイするにあたって一番重要なモノは、"協調性"*9と呼ばれるモノだけ。
とはいえ"協調性"なんてモノは、TRPGを楽しむ以上、元々必要不可欠なものだし……。
「優れたゲームシステムならば、"協調性の無い者"*10が居ても破綻せずに遊べる」と、言う意見もありそうだけれど、"協調性の無い者"が居る時点で、それが楽しめるセッションだとは思えないし、そういう人が混ざっても楽しめるシステムなんてのには興味は無い。
その他のシステム的には、今回予告やハンドアウト、シーン制などとかもあるけど、これはGMのマスタリングテクニックのひとつに過ぎないから使う、使わないも自由。
アフタープレイは感想会を兼ねた経験点の確定方法であったりするけど、このシステムは経験点なんてモノは不要。
成長は物語を通じてキャラクター自身が成長する演出を行えば良いだけだし。アフタープレイとかを使うなら一言感想程度か。
経験点という概念に付いては、「経験点はモチベーションになるから必要だ」と言われても、どうかなと思ったり。それを前提としたシステムならまだしもね。
なぜなら、我々は経験点を得るためにセッションをやっているのではなく、TRPGを楽しむためにセッションをやっているのだから……
まあ、そんな訳で、こんなゲームシステムを提案してみるけどどうだろう?
舞台背景さえ用意すれば、どのような世界観であっても適用ができそうな感じ。
一応、うちのエンゼルギア特化のチャットツールでのプレイも想定した感じにはなっているけど、まあぶっちゃけircでのダイスBOT導入とかで十分やわな。
*1:PCでの会話や行動宣言等も、突き詰めればプレイヤーが喋らなければ成立しない
*2:そもそもプレイヤー同士の会話が必要の無いシステムは、TRPGと定義されない
*3:もしくは、設定して良い範囲
*4:人型固定とかであれば不要
*5:判定値がひっくり返るだけだから、別に上方ロールでも構わない
*6:3D6形式や、2D10、1D100など、出目の絶対値が決まっている
*7:出目の絶対値が決まっている判定方式は、インフレの演出は出来ない
*8:GM:「相手は妖術を使ってイカサマをしているので、ダイスを振って1の目がでない限りは勝てません」などのような感じで
*9:シナリオに対する協調性。セッションはプレイヤー達皆で作るものという意識が持てるかどうか。データマンチとかそういうのは、データ面の比重がほぼ0な以上、シナリオに対する協調性さえあれば十分
*10:システムブレイクやシナリオブレイクに命を掛けている愉快犯とか、俗にマンチキンと呼ばれる人などや、まあ要するに空気が読めない人