瑞穂な日々の手記:優しい風の吹く場所

 第三世代人間戦車シュネルギア。それは一部の特別な資質を持った人にしか扱えない、いえ、正確には扱えないと言うよりは安定稼働をさせられない、と言った方が正しいとか。そんな、化け物じみた兵器。
 そんでもって、その特別な資格を持つ人は主に中高生からそれ以下に多いらしい。生まれた年に何らかの要因があるとも言われているけれども、この辺はその条件以外の人も私の知っている範囲の中で確かに存在しているので、それが正しいのかどうかはよく分からない。
 
 ただ、多いと言ってもそれは、宝くじを当てるのに等しいほどの稀少さであると聞く。
 現に、何年も掛けて国が躍起になって捜索を掛けているのに、未だ見つかった総数は宝くじの一等の総本数を超えるか超えないかくらいしか見つかっていないとか。
 こちらも、そう言われているだけで実際の人数を聞いたわけではないので、どうとも言えないけど。
 問題なのは、そんなものに何で私が選ばれてしまったのかって所ね。
 選ばれると言うよりは、まあ生まれに関わるものなのだろうけど。
 どうせ当たるなら、宝くじの方が当たれば良かったのに……
 
 まあ、本当のところそんな経緯はどうでもいい。
 過去にケチつけても、現実ってものは何も変わらないのだから。
 別に、現実を前に見据えたところで変わるものはそんなにないと思うけど。
 
 化け物のようなスペックの兵器の資格者として連れてこられて、何をやらされるか?
 兵器と言うからには戦争よねぇ……、化け物のような兵器の前ではゴミクズのような通常兵器に対して、なんの危険を考慮する必要もなくゲーム感覚で倒せば良い。
 そんな安直な設定であったなら、ここまで気が滅入ることも無かったのでしょうねぇ。ふぅ……。
 例えそうだったとしても、やる気になれたかどうかは、また別の問題であるけど……。
 
 目には目を、歯には歯を。昔からよく言われる諺。……ハムラビ法典だったっけ?
 まあ、そんなわけで例に漏れなく、化け物の相手は化け物と言うのは定番なようだ。
 天使と呼ばれるその存在……。
 天使を名乗るには甚だしい姿を持つソレ。天使と言うか……あれって虫とか宇宙生命体の類じゃない?
 16年前にヤシマが敗北し、鎖国を行う切っ掛けとなったソレが私たちの敵。
 生物兵器の類って言うのかなぁ。アレ、反則よねぇ〜。
 戦争なんてモノは、民族の根絶やしを目的にしたものでなければ、どちらが勝ったとしても最終的には平穏が訪れるモノでしょう? どうせ一時的なものだし。
 でも、アレはヤバイと思うんだわ。流石に街が一つ貪り食われる場面なんかを見せられてしまうと、私でもゾッとする。
 ゾッとするからこそ、あんなのと戦えと言われても戦いたくなんてないし、人任せにできるならそれが一番だわ。
 私にしかできないとか言われてもブッチってやりたいくらい。……まだ実行はしていないけど。
 
 何だかんだ文句言いながらも、与えられた仕事を全うしているなんて、私も人が良すぎるわねぇ……。
 まあ、ただ偽善者なだけだと言うのが正解。
 外面だけ良くして、チヤホヤされつつ安穏と過ごせるならそれが一番だわ。
 
 ……と、こんな絵空事、ふつーの人が聞いて誰が信じてくれるのだろう?
 未だ、朝目覚めたらそれが全て夢であるなんて展開を期待している私は、夢見がちな少女なのかしら?
 夢オチでもなきゃ、想像できる結末なんて、マシだと思えるモノが一つも無いしね。
 
 そんなこんなをつらつら書き連ねながらも、今日もこれから出撃ってとこ。
 贅沢は言わないけれど、直近の希望としては、まあ、また気が向いてこの続きを書く機会さえ得られるなら、それだけで良いわってところで妥協しておく。
 
 そんな気持ちでこれを書いていたって事実、肝に銘じておいてね。>未来の私