指揮権の適用範囲

 本日は、id:kokkuriの中の人の所のコメント欄から拾ったネタ。
 
 指揮戦術系の特技に良く見られる前提条件として、自分の指揮下にある者という条件がある。
 どのような条件で、誰々の「指揮下」と言う状態が発生するのだろうか?
 
 まず、命令により指揮権を持たされた者の「指揮下」になることは当然やね。
 そこで、指揮権と言うのはどのような状態を表すのかからの、復習から始めとく。
 基本的には一人の人物に対する指揮権は、一人の人物にしか発生しない。つまり、指揮権が混在する状況は原則発生しない。
 中隊指揮官は小隊指揮官に対して命令を行う権限は持つが、個々の小隊員に対して命令を行なう権限は持っていない。軍隊ってそう言う者だからね。
 
 仮に大隊指揮官をヴィヴリオ、中隊指揮官をヴァーランド、小隊指揮官をジークフリード、小隊員を秋とする。
 ヴァーランドがヴィヴリオの命でジークフリードを指揮し、天使兵に対する対応を行うと言うことは普通にある。
 しかし、ヴァーランドはジークフリードに小隊指揮権を渡している以上、秋に対して直接命令する事は出来ない。
 例え命令と言う形式で伝えたとして、その指示に秋が従わなかったとしても、命令違反にはならない。逆に従ってしまう方が問題となる。*1
 同様の事はヴィヴリオにも言えるので、上記の状態では、ヴィヴリオジークフリードや秋に対して、強制力の無い「依頼」「お願い」「頼み」と言った形で働きかける事は出来たとしても、強制力のある命令と言う形で働きかける事は出来ない。直属の指揮権のある者にその「依頼」を断れと言われたら、断らなくてはならない。その逆もまたしかり。
 なので、上記の状態でヴィヴリオが秋に働き掛けたいのであれば、ヴァーランドに対して「お前の部隊に所属するジークフリードに、その配下の秋に対して相方のナビゲーターに明日の配備シフトが第23区から第12区へ配置転換になる事を伝えさせるように命令するように命令する事を命ずる。」とか、物凄く分かり難い手順を踏む必要がある。まあ、あんまそういう事はしないだろうけど。
 ……ってか、指揮権の対象となる者以外へ対しての命令は、越権行為となるので命令させる事を命令する事自体がダウトやな。
 上のケースなら命令と言う形を取らない方が楽やね。
 
 まあ、そんな訳で直接の指揮系統は1つしか存在しないって事や。
 そんでもって、軍の体系による指揮権のほかには、指揮権の委任によって生じる指揮権と言う者も存在する。
 無人島で、身分も立場も違うもの達がリーダーとなる者を立て、その者の元で動いていると言うような状況がそうやね。そのリーダーの「指揮下」で動いているって事や。
 エンギア的に良くある状況としては、編成及び出撃の指示まではヴィヴリオが行なっていて、指揮権を託された人物が居ない状態。この状態でヴィヴリオが戦闘指揮にまで回る余裕がなければ、指揮の空白地帯が生じる。
 そんな中、「○○中尉、戦闘指揮はあんたに任せる。指示をよろしく!」ってな感じで指揮を委任し、その指示どおりに動くのならば、その人物は委任した対象の「指揮下」についている状態と言える。
 これは任意に「指揮下」に付いているだけなので、望んでいないものは「指揮下」に入らないし、例え委任したとしても、その指示に反する行動を取るならば、それは「指揮下」から外れる事になる。
 ゲーム的な例示で行けば、指揮を委任した後、指揮に従って動いている内は、そのキャラクターの使う《名将》や《リーダーシップ》の恩恵を得る事ができるけれども、例えば「雑魚を掃討しろ」と指示されたのに対して、雑魚が残っているのにも関わらず大物に攻撃を仕掛けるような態度を取るのであれば、その行動に対して各特技の恩恵を受ける事は出来ない。
 また、2つの指揮系統を持つことができない事から、指揮官が居るにも関わらず他の人物に指揮を委任して双方からの指揮戦術特技の恩恵を受けると言った事も出来ない。
 指揮の委任については、指揮の空白が生じている時のみ有効な信頼関係によって成り立つ一時的なものと想定するのが一番かと。
 
 取り合えずこんな感じでどうよ?>id:standbyの中の人

*1:まあ、小隊長であるジークの命に反しない範囲であるのならば、指示に従った訳でなく自己の判断によってそれを行ったと言う名目にできるものなら責任回避はできるけど。