《即席修理》と《メイデイ》について

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 原文はこちら
 http://d.hatena.ne.jp/standby/20050922/p3
 http://d.hatena.ne.jp/kokkuri/20050922#1127368706
 
 運用面的な結論は、わたっちのモノとそう大差が無いので先に明記。
 
 実質運用を想定するならば、《メイデイ》《即席修理》のそれぞれ、戦闘中はHP及び装甲しか対象に出来ないとか、その辺りベストなんじゃないかな。
 非戦闘中ならば、治療にせよ修理にせよ設備が整っていると言う環境の方が多い*1だろうし、そもそも平常時ならば、GMの許可が得られるなら〈エーテル〉技能を用いた「応急手当」判定や、〈整備〉技能を用いた「修理」判定ができるしね。
 その他の事例については、PLの提案した演出がOKかどうかをGMが判断する個別対処で問題無いかと。
 
 作用イメージ的には、《メイデイ》は説明文のそのままで、《即席修理》は機体のダメージコントロールシステムにアクセスして、常時の整備の経験を活かしマニュアル操作*2で対応を行なう感じで。
 勿論、この前提的には《メイデイ》同様にエーテル通信が可能な対象、もしくは直接システムを弄る事ができる対象である必要がある。
 
 
 以下、個人的見解。
 それぞれの記載項目に対応するツッコミとかが殆どなので、上記の結論にはそれほど関係無し。

わたっち側

はじめに

 特技だからどうこうと言うのに関しては、どう書いても詭弁になるので除外。

負傷ゲージと障害の関係

 こくりんも書いておるけど、ゲーム的には腕の喪失等は負傷ゲージとは切り離して考えるべきだと思う。
 腕を失うほどの負傷は重傷となり得るだろうけど、重傷ゲージが埋まる事により必ず腕が失われるわけではないしね。
 四肢を失った兵士が、生命に支障の無い状態まで回復*3すれば、四肢は失っているが負傷ゲージの入っていない正常状態になると言えるだろうし。
 この辺は、GURPSでは明確に規定されているけど、エンギアではルール化されていない部分だしね。
 なので、PCが負傷ゲージの重傷を埋める行為に対して、シーン上で必要な演出やPLの同意の元の演出で無い限り、GMがPCに対して「貴方のキャラは重傷値が埋まった為、両腕を失う事になりました。」と、押し付ける事が出来ないわけだ。

常時修理について

 ※下記は、最初に述べた戦闘時には負傷ゲージは修復でき無い事を踏まえて、説明に対するツッコミと言うことで。
 
 戦闘中に修理ができるのであれば、整備兵による修復行為が常時行なわれるのが当然であり、それが行われていないので戦闘中に修理ができるわけが無いと言うのでは理由にはならないと思われる。
 戦闘中だからと言って、整備員全てが出撃機体全てへのバックアップに回ることが出来るほど仕事に余裕は無い*4はずだし、対応技能を持つものがバックアップにつくと言う状況が、いわゆる《即席修理》持ち、《メイデイ》持ちのPC、もしくはNPCがサポートについている状況にあたるだろう。
 人員に余裕があるなら、毎回修理オペレート用の整備兵が付いていないとおかしいと思うならば、GM側でそういったNPCを用意すれば良いだけで、毎回付いていないからそういうスキルを持つ人員が存在はしないという理論は乱暴すぎると思う。
 また、メジャーアクションの特技と言うところ概念からも分かる通り、即席といっても一瞬で作業が完了するものでない(最低でもフェイズの時間の概念から1分近くは掛かる)ので、一瞬で受けたダメージを無効化することは不可能。よってまあ一撃で沈む可能性が高い通常の航空隊に付けるよりも、シュネルギア隊に優先してその手の人員が回される可能性はあるだろうが、必ず付いていると言う状態になっていない事がありえないということは無いはず。
 この点に於いては、《メイデイ》も《即席修理》も同様であり、また別の項目になるが、ルルブの記述を見る限りでは、シュネルギア1機に付き管制官1人がバックアップに回っている状態が通常の運用状態と言えるけど、セッションに於いては必ずしもそのように運用しているとは限らない。
 つまり、GM側でそのような運用が通常的に行なわれているとして配慮しない限りは、個々の事例*5に於いて、《メイデイ》《即席修理》などで対応を行なうスキルを持つものは、PC及びGM側で用意したNPC以外は存在しない*6と言う事になる。

シーン切り替わりによる回復について

 シーンが変わる事によって回復すると書かれているのは、HP、装甲のみ*7であって、負傷ゲージも回復するとは書かれていなかったはず。
 HPは痛み、気力、装甲はケルン耐久限度、発熱許容限度など負荷耐久許容限度系と言うイメージ。
 外傷は軽傷クラスであれ自然治癒に任せるにしてもそれなりの期間残るだろうが、殴られて受けた痛みというものは数十分もあれば退くモノ。このゲームで装甲と呼ばれているものにしても、短い期間に耐久限度を超えるような負荷が掛かるのでなければ、一定時間放置すれば基準値に戻るもの*8
 戦闘不能時の運用処理から見るに、HP0の場合はノックアウト状態、装甲0*9の場合はシステム許容量オーバーによるオーバーヒート状態*10に相当すると思う。
 負傷ゲージ別にイメージしてみると、

HP
治療するまでも無くほおって置けば治るもの。
軽傷
治療する事が好ましいが、ほおっておいても死ぬ事は無い外傷。
重傷
行動障害が起きるレベル。治療は必須で、ほおって置けば大事に至る可能性が高い。
致命
早い段階で治療を行なわなければ死に至るヤバイ状態。
死亡
死亡確定、動いているのが奇跡*11、確実に死が避けられないと言う意味で、本当の意味での致命傷。
装甲
修理するまでも無く自己メンテナンスでの対応可能範囲。
小破
行動には支障の無いレベルの軽度の損傷。修復は比較的容易。実質的な意味での装甲の破損、変形など。
中破
行動に障害が出るレベルの中度の損害。修復は容易ではないが困難でもない。
大破
行動不能に到るレベルの重度の損傷。修復は可能であるが、それなりの期間を要する。*12
破壊
破壊確定。全損状態。修復が不可能なレベルの損傷

ってなイメージになるんじゃないかな。

※参考資料 海上保安庁 航路標識整備事業の費用対効果分析マニュアルより一部抜粋
http://www.kaiho.mlit.go.jp/seisakuhyoka/j%20hiyou%20manyual%20h16.pdf

損傷程度区分

全損
本来の用途に使用できなくなった状態(修復が不可能な状態の損傷)
重大損傷
船体破損が中・大規模な状態(修復は可能であるが、自力航行は不可能な状態の損傷)
軽微損傷
破損が小規模な状態(修復が可能であり、自力航行も可能な状態の損傷)
損傷無し
船体の損傷を伴わない状態

注)損傷程度区分は、海難調査票の船体区分を前提とする。なお、重大損傷は海難調査票の「大破」、「中破」の両者を適用しており、軽微損傷は海難調査票の「小破」を適用している。

 まあ、ヴィークルについては、負傷ゲージがあるものと無いもので分けて考える方が良いかもしれない。*13

ツッコミには関係の無い補足

 シュネルギアなどに関しては、全パーツがモジュール構造化していて総取り替えも可能なので、修理に関してはパーツの予備さえ不足していなければ、1日もあれば完全修理はかもしれんね。*14

おまけ・小ネタ

 ついでに小ネタだけど、〈陳情〉及び〈調達〉判定については、対象を宣言してからそれを取得するのに必要な装備コストを難易度として判定を行う*15ので、対象が取得不可能なモノ、及び状況的に取得が無理な場合*16は、判定前に却下されるものかと。
 そんな言葉の綾取り。
 

こくりん側

負傷度合いによる回復度合いの変化

 負傷の度合いによって、必要な成功値が変わると言うのはありだろうね。
 案としては戦闘時には負傷ゲージを対象に使えないものという前提のもと、第一案が一番良さそうかな。
 また、作用イメージ的には通常時の作用としては、戦闘時のように一瞬で作用するイメージでは無く、効果自体は数時間単位での効果って感じで。
 《メイデイ》なら自己治癒の促進で、一日がかりで効果がジワリ*17と作用する感じ。
 《即席修理》は通常数日掛かる作業を突貫作業で数時間で行なう感じ。

重傷・致命は回復不可

 直接《メイデイ》では無いけど、「応急手当」に関してはそういった制限が適切だと思う・
 ……まあ、まだ応急手当を使った人を見た事が無いけど。

代償について

 代償については、ロゴスを起動コストで払っている他、大幅に回復させる場合はロゴスを投入させたりするので、回復量に応じてアガペーを上昇させるなどする場合、代償の二重取りになる可能性がある。
 そんな訳で、追加の代償は必要無いと思う*18

*1:勿論、そうでない環境もあるだろうけど、そこはGM側で説明して制限すれば良い範囲

*2:平常時ならば自動処理や、システムのデフラグ、再起動などで対応可能な領域だが、高速戦闘における戦闘管制の都合上自動処理に回す余力は無く、デフラグや再起動を戦闘中に行なうわけにはいかない部分を外部からバックアップする形

*3:相当する実例としては、戦時中に足を失い、戦後60年足は元に戻らずとも生命活動には問題無く生活を送っている人とか

*4:ホットスタンバイや増延部隊の機体に対する対応など、戦闘時の方が返って通常時に比べて仕事が多いものと思われる

*5:セッション

*6:基地内に存在しないと言う意味では無く、その時点でその対応できる人物が存在していない状況

*7:装甲は対象外だったかもしれないので、帰ったらルルブを読み直してみる。

*8:ケルン調整なら再起動なりデフラグなり、どちらにせよ戦闘行動中にとる事はできない行動だけど、戦闘状態から脱すれば手軽にできるようなもの。

*9:装甲は対象外だったかもしれないので、帰ったらルルブを読み直してみる。

*10:その他、熱暴走や色々なケースはあるだろうけど

*11:割と良くある奇跡だけど

*12:モジュール構造製のパーツならば取り替えた方が早い

*13:負傷ゲージの無いヴィークルについては装甲の扱いを小破に順ずるとか、まあ、敵以外として出て来る機会は殆ど無いだろうけど。

*14:交換用パーツが無く、修理しなければいけないものであればこの限りでない

*15:例えば、先に陳情判定を行い、成功数コスト分の装備を自由に選ぶような事は、GMが特別にそのような運用を許可した場合を除いては出来ない。

*16:《試作品》や《タイムリー》など、特技によってその前提条件が緩和される事はありえる。

*17:と言っても驚異的回復速度と呼べる速さ

*18:特に上記の負傷度合いによる回復度の変化が適用される場合は